本来,独占的な立場を築こうとするヌビディアを,アップルが採用するというのはちょっと異質な感じを受ける。5年前なら,この採用は,なかっただろう。だが,現在のアップルには,必要なことだ。
グラフィックチップメーカーのヌビディア社は,アップル社製品へのゲフォース2MX搭載のため,ADCに対応させるなどの改良を施した。ヌビディア社は,現在ATIテクノロジーズ社のラージ128モビリティチップが搭載されているパワーブックノートでの採用も狙っており,現在PC市場での48%のシェアを70%近くまであげたいともしている。
最初はオプションでの選択肢となるかと思われたヌビディアチップは事実上,メイングラフィックチップの立場でアップルに迎えられた。ゲフォース2MXは,クイックタイムやマックOSの画面描画をつかさどるクイックドローを踏まえており,今回のG4の新グラフィック機能もサポート,アップルの独自規格であるアップルディスプレーコネクタ(ADC)にも最適化されている。マックのDVD再生機能は,(基本的にはソフトウェアデコーディングだが)グラフィックチップを経由して行われるため,その設計も必要となるが,これもカバー。これらは,にわかにできることではなく,十分な時間をかけて行われたことは予想が付く。ATIは,開発能力の遅さと,半年前のちょっとした失敗(過去記事)で,窮地に追い込まれた。
に,してもヌビディアの名前は今,どのメーカーよりも大きい。PC市場では,3dfxを事実上潰した(過去記事)。Xボックスへの採用,マックのメインチップへの採用と,多方面化を進めている。今後,さらに中小のグラフィックチップメーカーは淘汰が予想され,業界の中心としてヌビディアの名前は強まり,ATIは最後に残された砦となる。マックの現状は,その予想図とも云える。近い将来,アップルがPDAを出す日,それはクイックタイムを中心としたグラフィックに大きく重きを置いたものとなり,そのPDA上にカスタマイズされたグラフィックチップは,1社独占となる。現状では,ほぼ,ヌビディアの採用となりそうな,勢いだ。かたやATIは,インテルとの提携という別の方向性を示している(MYCOM PCWEBの記事)。一年の計は元旦と云うが,今年の業界の計も,このマックワールドにみえているようだ。
|